2010年5月25日、北海道の沼田町商工会は創立90周年、法制化50周年の記念行事として、
沼田町生れの『寺島実郎 講演会』を行った。 ![]() ▲講演会に先立ち、私は30分、質問を交わす機会を得た。 大きなテーマとして私が投げかけたのは、「北海道の歴史的役割は終わったか?」。 さらに話題は農業政策や、雇用問題のからくり、「新しい分配の機軸」のあり方などに広がり、短いながらも濃く知的な時間だった。 そして最後に、ジャーナリスティックな質問をしてみた。 本来は会談した30分間、その全てをいっぺんに『共犯新聞』に公開すべきだが、 それは数ヵ月後に沼田町商工会の記念誌として出版される予定なので、そちらを読んでいただくことにして、 米軍の移設問題がこじれ切った今日、 『共犯新聞』では、その部分のみをまず、紹介してみる。 考えるときには、じっくり考える場合と、その時に考えなければならない場合があるのだから。 ふむ。どうぞ。 うん! うん。 うん、うん。「何のために沖縄に米軍がいるのか?」について分かりやすく教えていただきたいのですが。 そのことで、今日のぼくの講演で時間があれば、是非、触れてみたいんだけれども。 ただ、会場のみなさんが興味があるかどうかは分からないので、せっかくの機会ですから、ここでお話したしましょう。(実際、講演の中では、この話題にはまったく触れなかった。)
まず北海道の人が最初に自問自答していただきたいのは、というか、自問しなければいけないのは、「なぜ、北海道に米軍の基地が無いのか?」ということ、だよね? それはね、きわめて明快で、冷戦の時代に、日本側の復活を図るためのしくみであった日米安保の本質を物語っているわけですよ。 というのは、あの時にこそ、北海道に米軍基地がなければいけなかったんですよ。 なぜならば、ソ連が仮想敵国だったからですよ。 でね、もしソ連が最初に日本に侵攻してきたときには、すぐそばの旭川の師団を含めてね、自衛隊が闘わなければいけなくなるわけですよ。米軍基地の北限は青森県の三沢なんですよ。北海道ではないんですよ。 でね。なんで米軍が北限ではなくて、一番、南の沖縄に張り付いている、かと言ったら、もちろん、あの時点で沖縄が日本じゃなかったから、とか、色んな事情があったとは言えね、 ようするに、ソ連が攻めてきたときに、米軍は一番、最後に南に構えてて、 情況見極めたうえで行動を判断しようというののが本音だったんですよ。 現実問題としてね。 そ、こ、で、考えなきゃいけないのは、あらゆる情況や問題を含めて、ぼくが考えなければいけないと言うのは、 まずね。「常識に帰ろう」、ということですよ。トマス・ペイン、ですよ、トマス・ペイン。 そう、『コモン・センス』。「常識に帰れ」ということですよ。ようするにね、ぼくが日本の外を動いていて、 ひとつの独立国に外国の軍隊が駐留していても平気だっていうような国はね、 国際社会で、まっともな、ね、一等国として認識、評価されるのかどうかってね、 まず、原理、原則に帰って考えてみるべき必要があるんだよね。ね? でね、「そうもいかない、もう冷戦が終わってもう20年も経っているけれど、アジアには北朝鮮問題、中国の潜在脅威はあるし、ようするにね日本は不安だ。」、と、 だから「抑止力が必要だ。」と、ね、例の抑止力論ってーやつががぜん出てくるわけだけど。 分かった、と、日本に安全を確保するためにね、アメリカ軍が駐留しているということについてね、一定以上の評価をする、としての、その「抑止力のありかたとは?」について、もう少し真剣であっていいよね。 それは、たとえば具体的に言えば、日米の地位協定には、3つのステータスがあるんですよ。ひとつは、米軍が占有権を持っている基地。つまり、米軍が自由に基地を使える。ほとんどの米軍の基地が、それ。 ふたつめはね、米軍が管理しているけれども、自衛隊も共有している基地。 みっつめは、日本国が管理権、つまり自衛隊が管理しているところに、米軍が駐留している、という基地。 これはシンガポール方式というんですよ。 ようするにフィリピン海から米軍が出て行ったときに、リー・クアンユーはりこうだから、シンガポールが米軍を引き受けたわけですよ。 ただし、シンガポールはアメリカに管理権はぜったい手渡さなかった。 で、日本が自分をごまかすように、「そうは言っても米軍がいなければ日本は不安なんだよ。」という抑止力論に行くとしてもですよ、もし米軍が日本にいても、日本の管理下に米軍がいる、という第3の方式に移行できないのか? ってゆーぐらいのね、きちっとした主張を日本は持つべきでね。 そうでなければ、アメリカが世界に展開している「大規模海外基地」上位5つのうち4つが日本にあるなんて、バカなことないだろってね。 もっと言うならば、アメリカも切ないよな、ってこと。どうしてかって言うと、 7割も駐留経費をもってくれている国は世界で日本だけだよ。 自分の国に基地を置いているよりもコストがかからないんだから。 その誘惑がものすごく大きくてね。 だから、アメリカ人とディベートしていても分かるけれどね、なんだ、かんだ言っても、彼らは日本を言いくるめてでも、コスト面の誘惑で日本に居続けたいってあるのよ。 逆4の字がためになっているんだよ。 この政権の最大の間違いはね、どちらかと言うと本音よりも、理念タイプの政治家である鳩山とオバマ同士なのに、 ものすごく現状に利益を得ている人たちがいて、 とにかく現状のままありたいんだという主張から脱しきれない情況にいるんだ。 それに国民も幻惑されて、つまり、抑止力論によって米軍がいないと困る、となっちゃってるんだよ。 だけど冷戦が終わって20年も経っているってことをどう認識するのか、ってことだよ。 ![]() ▲最後に私が寺島氏を初めて知った1987年の雑誌『エスクァイア』を見せて、会談は終わった。 この雑誌が発行されたとき、寺島氏は39歳。私は25歳。 ![]() ▲講演は2時間弱行われたが、結局、最後まで米軍基地問題は語られなかった。
text by special thanks to 沼田町、沼田町商工会 |
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