2010年3月7日(日本時間8日2Pm)、第82回アカデミー賞が発表された。
今回の話題作は圧倒的に『アバター』だった。なんせ世界興行収入記録
を更新中のオバケ映画なのだから。しかし制作費230億円の『アバター』
は選ばれず、制作費10億円の『ハート・ロッカー』が選ばれた。口の悪い
評論家は、「ノミネート作中、もっとも観客が入っていない作品を選んだ歴
史的快挙。」とまで言う、この二作の落差は、それぞれ個別の作品以上に
2010年という時代を語る時のテーマとなりうることだろう。
そんな歴史的快挙の審査をしたアカデミー会員に対して私は、とても申し
訳ないと、この場を借りてあやまっておきたい。なぜならば、彼らが審査を
する時に、いつも参考にしていた
『共犯映画賞』の発表が、有史以来、初
めてアカデミー賞の発表の前に間に合わなかったからだ。あわてたアカデ
ミー会員たちが、混乱の中で奇をてらおうとインディペンデント映画である
『ハート・ロッカー』を選んだ心理が私には痛いほどよく分かる。
アカデミー会員がコンピュータの前で『共犯新聞』の1面トップ記事が更新
されるのを待っていたころ、私は札幌の映画館の暗闇の中に座っていた。