久保AB-ST元宏同窓会長の挨拶2015。
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Why the human being is not born in adults ?
speech by

久保AB-ST
元宏
live at 旧・沼田中学校 あと地
沼田中学校3年生のみなさん、いよいよ、もうすぐ沼田中学校からの卒業ですね。
おめでとうございます。
私は、沼田中学校、同窓会の会長をさせていただいている久保元宏です。
そして私は、みなさんの2つ上の先輩、空夢と、今の2年生の羽有のお父さんです。
私も、みなさんが小さな時から、沼田保育園で太鼓を叩いている姿や、
いこいの広場に100円玉を握りしめて、かき氷やフランクフルトを食べに来てくれた姿を憶えていますので、
とても感慨深いものがあります。
そうそう、土曜日に、ここで行った雪合戦のチームが、昨日の日曜日には名寄市と旭川市で行われた大会で、
沼田小学校と沼田中学校がダブルで優勝したそうですね♪
藤木くんと、畑地くんが出場しましたよね。(拍手)
それもまた、おめでとうございます。

野球部のみんなは、小学生の頃から大嶋先生たちや、沼田町内のふつーのオジサンたちからノックや走塁を習っている姿を私はグランドごしに見ていました。
一方、卓球部は別の閉じた体育館での練習ですから、なかなか見る機会はありませんでしたが、先日、大勢の小学6年生たちが見学にいらしたことは、
筒井くんが「卓球部(笑)」と言いながらも、畑瀬くんや山田くんたちと続けて来た活動が次につながることを意味していると思います。
バスケットボール部は、試合のたびにパス回しが上手になってスリリングな試合運びができてゆく姿を芦別市の体育館などで感じましたし、
吹奏楽部はひとりがミスをしないことよりも、長野先生や竹原先生からバンド全体で大きなグルーヴを全員で作ってゆくことの重要さをつかみだした姿を見なが
ら、
私は傍観者でありながらも、いつの間にか、みなさんの姿に感動している自分に気が付きました。
去年の文化祭では、河原花さんたちの壁新聞のクォリティの高さや、
岡田さんが指揮をした合唱のすばらしいハーモニーには、後輩や来賓の保護者のみなさんの心に大きく響きました。
演劇の演出は森田くんかな?とてもデリケートな世界観に取り組む姿にも感動させられました。
もちろん、演劇を観ながら、もっと前を向いて大きな声でセリフを言ったらいいのになぁ、
とか、
武知くんのチャーシューメンを是非、食べてみたい!とかも、感じました(笑)。
そんな沼田中学校から、みなさんは卒業です。
そして、町内に学校が1つしかなく、1学年にクラスも1つしかない沼田町のみなさんは、
この生まれて来てからの15年間、ほぼ全員が、ずーーーっと、一緒に机を並べて、体育祭やお遊戯会をしてきた
仲間からも、卒業します。
これからは、それ&ぞれの高校で、新しい仲間をゼロから作り始める、とゆーことが始まることでしょう。
でも、それはみなさんにとって初めてのことではありません。
だって、ひとり、ひとりが、15年前にしたのですから。
そうそう、みなさんは、沼田町議会に傍聴に来てくれましたし、議場で自分自身の意見も発言しましたね。
今、国会では、「選挙権を18歳にする」ことが議論されています。
どうやら、来年には、そうなりそうです。
と、言うことは、みなさんも、あと、たったの3年で選挙権を得ることになります。
もちろん、日本は1946年に日本国憲法が公布されてから、69年間ずーーっと、選挙権は20歳以上の男女と定められています。
つまり、20歳になったら、オトナになるから、

お酒やタバコと同じように、政治にも参加できる、とゆーことだと思います。
今、15歳のみなさんは、おそらく、自分はオトナではなく、子どもだ、と感じていると思います。
でも、選挙権が与えられる18歳は、あと、たったの3年後にやってきます。
沼田中学校でのこれまでの3年間と同じ長さの、これからの3年間で、みなさんは少なくとも、世間から、オトナと見られるようになるのです。
そう言われると、「うへぇーー!!」とか、プレッシャーに感じるかもしれませんね(笑)。
でも、みなさん。
馬は、生まれてすぐに立って歩き始めますよね。テレビなどで、ごらんになったことがあるでしょ?
馬に限らず、ほとんどの動物は1年もすればオトナになります。
それどころか、人間がオトナになる18年間にも満たない寿命の短い動植物のほうが多いのではないでしょうか?
では、なぜ人間は生まれてすぐオトナにならないのでしょうか?
18年もの長い時間が必要なのでしょうか?
どーせ、いつかはオトナになるのであれば、すぐオトナになっても、いいようなものですよね〜。
それに、どう考えても他の動物よりも知性が優れている人間が、他の動物よりもオトナになるのに時間がかかるのは、むしろ不思議ですよね。

そう、「知性」。
それが、むしろ、オトナになるのに時間がかかる理由である、と私は思います。
中学校の図書館や、ゆめっくるには、みなさんがまだ&まだ読んだことのない本が、たくさんありますよね?
春になると、毎年、新しい教科書が与えられ、その内容は、ほとんど知らないことが書かれていますよね。
人間が他の動物と決定的に違うのは、文字などの伝える道具を持っていて、蓄積された「知性」を次の世代に手渡すところにあります。
そして、喜怒哀楽だけではない、無数の複雑な感情を生きます。
その多くの方からの
「知性」の手渡しと、
孤独な「感情」の熟成。
その貴重な時間を準備しておくために、人間は生まれてすぐオトナにならないように、なっているのだと思います。
コドモの時間とは、他の生物には無い、長い人類の歴史で積み上げて来た重要な宝物を
引き継ぐ時間のことなのです。
他の生物は、すぐオトナになる。つまり、すぐ完成する。
しかし、私たち人間は、なかなかオトナにならずに、いつまでも未完成である時間を利用して、「知性」を引き継ぎ、
あっ!とゆー間にオトナになれた他の生物よりも密度の濃い準備ができるのです。
つまり、「完成」よりも「未完成」のほうが、可能性があり、楽しいんですよね♪
だから、人間は、他の生物と違って、ほぼ唯一、
進歩してきた生物であり続けたのだ、と私は思います。
ですからみなさん、どうか、これから3年間、オトナになるまでの時間を楽しみ、
世界中から「知性」を吸収し、ひとりの孤独な時間で「感情」を磨いてください。
そのお手伝いをするシステムのことを、「学校」と
呼び
ます。
みなさんたちが、沼田中学校を卒業してからも、高校への進学を希望されたことに、私は敬意を感じます。
きっと、4月からの「高校」は、みなさんの
「やりたいこと」の発見をお手伝いす
るでしょうし、役に立つことでしょう。
そして、みなさんは、たった
今、もうひとつのシステムを手に入れました。
それは、
「同窓会」です。
これから、どんどん羽ばたきながら、同時に、
ばらばらの場所で、どんどん
変わっちまったり、変われなかったりしている仲間や自分
が世界のどこかで生きている、というリアルな実感。
それが、同窓会です。
同窓会は、いつでも、みなさんを待っています。
そして同時に、みなさん、ひとり&ひとりが、同窓会です。
これから吹奏楽部の有志の演奏に合わせて、みんなで沼田中学校の校歌を歌いながら、
みんなの作文が入ったタイム・カプセルを入れる再会の塔は、
今朝、
同窓会のみなさんのセンパイたちや、校長先生が堅い雪をけずって階段や道を作りました。
このタイム・カプセルは、これから10年間、ここでずっと、みなさんを待っています。
是非、10年後、みんなでここで
再会しましょう!