★時間泥棒としての書物。
時間共犯としての古本屋。 | |
2010年9月5日(日)4:30Pm
お別れは突然やってきて、すぐに済んでしまった。
旭川市の4条通りは、駅前通とクロスして、十字架の両手のように東西に伸びている。
1990年から再び沼田町に住むようになった私とっては、
それまで住んでいた東京や札幌よりははるかに小さいが、旭川市が一番近い「都市」となった。
当時、我が社の支店がその4条通りの東をさらに北に曲がったところにあったので、
いつしか私にとって4条通りが旭川市のメイン・ストリートとなっていた。
東京や札幌に住んでいる頃は、手当たり次第に古本屋や中古レコード屋をあさっていたので、
旭川市に気軽に行けるようになったことは、私にとってはまた新しいそれらの開拓を意味した。
新刊本を売る書店とは違い、古本屋は路地裏にある。
一件、一件、それらを捜し出しては、棚をなめて、それぞれの店の個性を味わった。
しかし、いつしかブック・オフの隆盛のせいか、旭川市内からも古本屋が消えて行った。
もちろん私もブック・オフの常連なのだから、古本屋壊滅への共犯者なのだけれど。
私が古本屋『村田書店』を発見したのは、1990年代の中ごろだった。
多くの古本屋のように、路地裏にあったため、私が通っていた他の古本屋よりも発見が遅れた。
雑誌『ユリイカ』のバックナンバーがほぼ新品のようにずらりと並んでいたのが印象的だ。
エネルギッシュな店主と、新左翼系の古本の充実が、いかにも団塊の世代っぽい店作りだった。
であるから、1997年2月、メイン・ストリートである4条通りに大型古書店『BOOK BIG BOX』が
開店した時、そこがあの路地裏の自宅を改造したような『村田書店』の新事業とは思わなかった。
しかし、店内に入って品揃えを見た瞬間、もしや?と思っているところへ、
あのエネルギッシュな村田社長がずかずか歩いて入ってきたから、なるほど、と思ったもの。
そのうちに、『BOOK BIG BOX』は旭川市内に数件のチェーン店を展開し始めた。
さらに、富良野市や滝川市にも支店を出した。
最盛期は全部で、10件ほどはあったと思う。私は、その全部に行った(笑)。
とにかく品揃え、棚作りが私の趣味に合っていた。
アイウエオ順に本を並べるだけのブック・オフとは違った。
この日、久しぶりに4条通りの『BOOK BIG BOX』本店に行ったのは、いつもの私の気まぐれ。
まるで書物を終わりから読むように、いつも裏口から入る私は、
そこに貼ってある閉店の知らせに驚いた。 |

▲えっ!? |

▲裏口から入ると、全集コーナー。これは、中上健次。 |

▲まっすぐ歩けば、4条通りに通り抜けられます。 |

▲1960年代の伝説の雑誌も、手軽な価格で買える。 |

▲あらゆる時間が公平に存在しているのも古本屋。 |

▲全部で18冊買って、合計\6810。一冊平均、\378。 |

▲閉店時間5時を大幅に過ぎるまで、いた。 |

▲閉店時間を過ぎて4条通り側の表のシャッターは閉められていた。 |
いつも、倉庫に積み上げられたヤミ米の在庫ばかりが
気になっているのが私の仕事だが、
古本屋には古本屋の「在庫」の悩みがあるんだな。
そう言えば、もうずいぶん前に私が、
漢幸雄(はた・ゆきお)さんと、
朝日町 『サンライズホール』の事務所で
書物談義をしたとき、
漢さんも、
「旭川市内の古本屋は、村田書店ぐらいだな、今、いいのは。」
と、言ってたことを思い出した。
「いいのは」売れる。
だから、そこにもう無い「在庫」が
その店の本質であったりするのだから、
古本屋は永遠の遠国、か。
私たちは、離れていても、
また、出会わなくとも、
こうして固有名詞でつがることができる。
そのもっとも濃い代表が、
人類の歴史で長い間、書物だったのだと思う。 |
7:10Pm
沼田町寄りに
店舗を移動した
Bravo! Cooking Olivo Olivo
(ブラボー!クッキング
オリーヴォ オリーヴォ)
に、
初めて行ってみた。
旭川市忠和3条1丁目7−12
電話;0166-63-7552
ランチ;11:30Am〜3Pm
ディナー;5:30Pm〜9:30Pm |
▲どうしてイタリアは赤も冷やすのかな。 |
▲生ハムの濃厚チーズクリームソース♪ |
▲ピッツアは、パリパリ・タイプを選んだ。 |
▲本日のカルネは、にわとり♪ |
▲デザートも、しっかり♪ |
ワインは、
イタリア、シチリア州の
「マンドラロッサ・
カベルネ・ソーヴィニヨン」。
カルネに添えられたソースと、
パスタのトマト・ソースと、
マルゲリータ・ピッツアが、
同じ甘味を含んでいたので、
オーナー・シェフに聞いたら、
最近、業者から紹介してもらった
イタリアのバルサミコの
新製品「Casa Rinaldi」だそうだ。
ボトルも見せてくれて、
「今、これに凝ってるんです。」
とか。 |
▲ひとりで1本呑んだら、顔も赤ワイン。 |
10Pm 帰宅してから、戦利品のチェック。

▲バラバラなようだけど、これだけ並べば、つながりが見えてくる。

100万人の兵隊が、活字を護っても、全ての書物は一列に並んで、順番に分別ゴミの底に消えちまうことを私はもう知っているけれど。

印刷所の職工が、ひとつ&ひとつ拾った鉄の活字が紙に押し付けられている。その文字にそった紙のへこみが、愛おしい。

今夜、町中で一番大きな蝶が私の部屋で羽を開いたり、閉じたり。

本さえ、残ればいいんだ。
text by

久保AB-ST元宏 (更新日;2010年9月7日 火曜日 3:51Am)